「UFCはコア層。僕らは世間を騒がせて、スターを作りますよ!」、「我々がやっていることって、やっぱり格闘技をおもしろくする“最後の砦”」、「『マスに通じるコンテンツ』を作らないといけない。物凄くマニアックなことをしてもしょうがないんですから」
これらは全てFEG・谷川貞治代表の2ヶ月ほど前の発言だ。しかし現在は「HERO”Sは今までのやり方からちょっと方向転換しますね」、「もっとPRIDEっぽいことをやらないとダメだと思うんですよ。マニアックなカードを」、「今一番重要なのは『大地に根の生えたスポーツコンテンツにしてゆくこと』ですね」
とすっかり変わってしまった。この180°の転換は何を意味するのか?
HERO”SはUFC・PRIDE系選手の受け皿に
冒頭に書いたように今後HERO”Sは路線変更をすることになるようだ。この背景には、UFC・PRIDEからあぶれた選手や、あるいはUFC・PRIDEからはあぶれてはいないがブランクが空くのが嫌だという選手の存在が挙げられよう。
このようなUFC・PRIDE系選手の受け皿として機能するために、彼らにあった色に変える必要性が出てきたというわけだ。PRIDEの事実上の閉鎖や、戦うリングが限定されてくると、HERO”Sも変貌を遂げてくるのだ。
路線変更するとマスメディアのウケも良くなる
UFC・PRIDE系選手を確保すると、PRIDEファンも興味を持ってくれる可能性も高くなる。その上マスメディア等のウケも良くなる。現在発売中の『KAMIPURO』(2007 114号)の記事『PRIDEリターン座談会』ではこう書かれている。
「『HERO”S』の『PRIDE』化は、テレビ局やスポンサーへのアピールも含まれているのかもしれないですね。これから『PRIDE』の選手がたくさん来ますから! という」
『KAMIPRO』(2007 114号)『PRIDEリターン座談会』より引用
いわゆるPRIDE的な最強を目指すコンセプトは、競技として認知されやすく、メリットがあるのだろう。
HERO”SのPRIDE化はリングス旗揚げの事前工作!?
ここまで来るとHERO”SはPRIDE化しようとしているのが明白だ。そしてそれは、日本総合マット界における地位を磐石なものにしようということなんだろう。
しかし自分は何か引っかかるのだ。もし『KAMIPURO』に書かれた通りに現実が進んでいたとしたら、テレビ局、スポンサーを引き付けた時点で、HERO”Sが第2次リングスにシフト・チェンジするのではないか。そんな憶測がわずかながら頭をよぎってしまうのだ。
HERO”SのPRIDE化は、実は第2次リングス旗揚げのための事前工作なのではあるまいか。いずれにしても今年後半も総合マット界の動きから目が離せない!