米国マット界の”総合バブル”につけ入る余地は?

米国マット界におけるUFC隆盛の背景

昨年の「ミルコ・クロコップPRIDEからUFCへ移籍」というニュースは、あっという間にマット界を駆け抜けた。一説によれば、UFCのミルコ・クロコップに提示したファイト・マネーは、数百万ドルとも言われている。これを機に有名どころの選手は、ミルコ・クロコップに続くべく日本マット界から米国マット界に主戦場を移すのではないか。そんな危惧さえ囁かれ始めている。

こうした背景には、米国におけるペイ・パー・ビュー(PPV)契約世帯数の多さが挙げられよう。UFCは、その莫大な視聴料を基にした経済力でもって、総合マット界のパワー・バランスを揺るがすまでに成長した。まさに現在米国マット界は、“総合バブル”に突入したのだ。

米国総合ファンは「打撃>寝技」

しかし総合格闘技を観るようになった米国のペイ・パー・ビュー(PPV)契約世帯の人々が、はたして日本の総合ファンの域に達しているかといったら、それは2007年現在の時点ではクエスチョンマークだ。今はある程度バイオレンスでなく競技として完成し、役者が揃いだしたから観ているのかもしれないが、時間が経つにつれ、廃れる可能性も十分に考えられる。

というのも、やはり米国人は寝技より打撃技の方が好きな国民だからだ。日本のファンなら楽しめる関節技の攻防も、米国人にとっては地味でわかりづらいものに映り、退屈するようだ。ミルコ・クロコップを引き抜いたのもまさにそうした理由だと考えられる。地味な関節技の攻防より、わかりやすい華麗なハイキックなのだ。

UFCの泣き所

だからミルコ・クロコップや打撃系選手が活躍してる間は、UFCはペイ・パー・ビュー(PPV)が潤ってるだろうが、寝技中心の攻防が頻発するようだと、安泰ではないかもしれない。そこがUFCの泣き所であり、ここ二十数年で前田日明(現・HERO”Sスーパーバイザー)によってプロレス・ファンが格闘技ファンへとエデュケーション(education)されてきた日本のマット界とは大きな違いなのだ。

ペイ・パー・ビュー(PPV)契約世帯の人々への長期的なエデュケーション(education)。そして質の高い安定した観客需要の見込める日本総合マット界への定期的な進出。これらを実現させれば、半永久的にUFCが世界総合格闘技市場を制すだろう。逆にそれができなければ、日本にも若干つけ入る余地は残されているような気がする。