ヒョードル(Fedor Emelianenko)は、UFCのリングには上がらない!?

先日のマット・リンドランド(MATT LINDLAND)戦を制した“Russian・Last・Enperor”ヒョードル。本来PRIDEが主戦場のはずのヒョードルが、何ゆえにbodogのリングに上がったのか? ヒョードルPRIDEとの契約が残っていたのではなかったのか? 今後「UFC-PRIDE同盟」の関係で、UFCのリングに上がることが大いに考えられるが、それははたして実現するのだろうか? ない知恵を絞ってあれこれ推測してみたい。

ヒョードル(Fedor Emelianenko)は、レスリングに弱い!?

マット・リンドランド(MATT LINDLAND)戦は、終わってみればヒョードルの貫録勝ちだった。しかし試合開始当初は、コーナーまで組み戻され、バランスを崩されるシーンが目立った。崩されまいと頻繁にロープを掴んだあたりでは、ヒョードルの苦戦を予想したファンも多かったに違いない。

しかしこのヒョードルがバランスを崩されるシーンは、何も今回のマット・リンドランド(MATT LINDLAND)戦だけではなく、過去のPRIDEにおけるコールマン(MARK COLEMAN)戦、ランデルマン(KEVIN RANDLEMAN)戦においても似たような展開があった。もちろんヒョードル自身、タックルの切り方は熟知しているはずだし、実際上手い。ガード・ポジションを取っていても、パウンドの餌食になることくらいわかってるはずだ。しかしそんなヒョードルでも結構レスリング系の組み付きを食らっているのだ。

それでもヒョードル(Fedor Emelianenko)が強いわけ

レスリング系の組み付きを食らっていてもヒョードルが勝ってしまうのは、当然のことながら並みの選手でないからだ。抜群の反射神経と驚異的な背筋力、そして常に冷静な頭脳をヒョードルは持ち合わせているからこそ、下の体勢であっても一瞬の隙を見て逃れたり、技を仕掛けたり、あるいは体を入れ替えたりができるのだ。

あと忘れてならないのがルールとリングだ。「ルールとリングなんて何もヒョードルに限ったことじゃないじゃんか!」と思われる方もいるだろう。確かにそうなのだが、ヒョードルは特にこのルールとリングを熟知しているというか、これらの恩恵を上手に受けているというか。とにかく重要であることは間違いないのだ。

PRIDEルールとUFCルール

いきなり言ってしまおう! ヒョードルPRIDEルールだと、己の実力を存分に出せると自覚しているはずだ。反対にUFCルールだとPRIDEルールに比べリスクが高くなると考えているはずだ。リングと金網オクタゴンの違いが、よく説明の引き合いに出されるが、まさしくそれなのだ。もちろん前者がPRIDEで後者がUFCなのは言うまでもない。具体的に言うとこうなる。

(1)金網オクタゴンだと、タックルを切りづらい。リングと異なり脚を外に伸ばせないから。(2)際での戦いの場合、金網オクタゴンだと、垂直面と床面の2辺に体が固定されやすく、上の体勢の相手からのパウンドを凌ぎにくい(ex.アボット(David “Tank” Abbott)VS安生。1997/12)。(3)金網オクタゴンだと、グラウンド状態での肘打ちが認められている。(4)金網オクタゴンだと、体勢のバランスを崩した場合、ロープのようにしっかりと掴んで体勢を持ち直すということがしにくい(背中で金網に寄りかかりながら這い上がるのは可能)。

あらためてヒョードルの過去のPRIDEの試合を思い浮かべてほしい。もしリングでなく金網オクタゴンだったとしたら、現実の試合より苦戦していたのではないかと想像できよう。もちろん仮定の話だから実際にやってみないとわからない。わからないが金網オクタゴンでの戦いの方がリスクは高いと感じるだろう。

ヒョードルは、こうしたリングと金網オクタゴンの違いを認識しているだろうがゆえに、後者での戦いより、前者での戦いに固執してゆくのではないかと、私は推測している。

ヒョードルのbodog参戦は、UFC不参戦の布石!?

そう考えると、bodog参戦も強ち気まぐれではないように思える。金網オクタゴンのUFCとは別の選択肢として、bodogを選んだ可能性も十分にあると思うのだ。またbodogには、ヒョードルの祖国ロシアの、プーチン大統領(Vladimir Vladimirovich Putin)も来場したことで、“ロシア政府公認”の意味合いも出てきたから、ヒョードルが主戦場にしたとしても何ら不思議ではない。今後総合マット界は、3つ巴とか言われているが、このヒョードルの行方が総合マット界の勢力図をガラリと書き換えるのかもしれない。