前田日明リングス総帥が語る「第2次UWF3派分裂の一因」

現在発売中の『G SPIRITS』(Vol.3 辰巳出版株式会社発行)における「前田日明 一線を越えた青春時代」(同誌P4)では、前田日明リングス総帥が新日本プロレス、第1次・第2次UWFについてのエピソードを語っている。基本的にその内容は、昔からの前田日明ファンにとっては既出ネタばかり。しかしその中でも新たに知ったことがあった。それは第2次UWF3派分裂の一因として「宮戸・高田のクーデター」が前田日明リングス総帥から挙げられていたことだ。やっぱりそうだったのかと。

“落ちこぼれる人間”と別団体旗揚げの動き

『G SPIRITS』(Vol.3 辰巳出版株式会社発行)における「前田日明 一線を越えた青春時代」(同誌P4)を読んで私の中で明確になったことは、以下の2つだ。

一つは、第2次UWFにおいてこれまでどおり通用する人間と落ちこぼれる人間(同誌「前田日明 一線を越えた青春時代」から原文のまま)に分かれたこと。

もう一つは、前田日明と袂を分かち、別団体を旗揚げする動きがあったことだ。

以下それらの該当部分を引用してみる。

UWFの分裂っていろいろな要因があってね、複雑に絡み合っているんですよ。

(省略)

その後の新UWFで俺がやろうとしていたことは、オランダから選手を呼んで、今までのプロレスと違う新しいことをやろうと。

(省略)

そうなると落伍する人間も出てくるんですよね。それは当然、本人もわかるわけですよ。一番最初に落伍するのは宮戸(優光)ですよ。そういう危機感もあったんだろうし。

(省略)

新橋にある不動産会社がスポンサーになって、一番最初の投資で3億円。俺の頭の中では、みんなのギャラを3倍ぐらいにしてあげられるし、宮戸とか落ちこぼれる人間が出てもレフェリーかなんかで最後まで面倒見てあげられるかなって考えてて、選手を集めて説明したんだけど、その段階でおかしな動きがあったんですよ。

『G SPIRITS』(Vol.3 辰巳出版株式会社発行)における「前田日明 一線を越えた青春時代」(同誌P4)より引用

『マット界をキャプチュード!』編集部註:
上記引用文中の“UWF”は第2次UWF(新生UWF)を指し、“新UWF”は、第2次UWF(新生UWF)崩壊後に旗揚げするつもりだった団体を指している。

“落ちこぼれる人間”と”万年No.2″の結託=第2次UWF分裂の一因

第2次UWFにおいて前田日明は選手としての活動業務だけではなく、それ以外の団体運営業務についてもフロントとともに東奔西走していたのは、周知の事実。

しかし一方で選手の中には、「オレたちはこうして一所懸命練習に励んでるのに、なぜ前田さんは以前ほど道場に顔を出さないんだ」とか「前田さんばかりいいとこ取りして」といった思いを募らせる人間がいたことも確か。

そんな思いを募らせた選手も年齢を重ね、社会経験を積んだ現在だったら、当時の前田日明の役割や状況を理解できただろう。前田さんはスポンサー関係者との打ち合わせで多忙を極めてたんだろうな、体格的にも人気的にも実力的にも申し分ない前田さんがエースじゃないと、マット界&団体を牽引できないからな、とか。

だが第2次UWF崩壊直後においては、団体&選手を思う前田日明の行動を知る由もなく、いかに前田日明の下から離れるかという考えしか浮かばなかったのではなかろうか。

そしてそうした選手のうちの一人が、落ちこぼれるのではという危機感もあった宮戸だったのだろう。

また高田延彦もこのままずっと前田日明と共にいると、万年No.2の地位に甘んじるしかなく、ここが一つの転機と捉えたのは、容易に察しがつく。

したがってこの宮戸と高田の二人は、互いに前田日明からの離脱という共通項でもって、別団体旗揚げの画策をし、結託するようになったのは、ある意味において当然の成り行きだったとも言えよう。

高田が”選手は自分がまとめときますんで、旗揚げ準備頑張ってください”って常々言ってたんで何も疑ってなかったし。残念ながら、宮戸、高田のクーデターですよ。今回、船木と再会して、あの解散宣言後の各人の動きと発言を確認したら驚くばかりで、やっとこういう結論に至った。

同じく『G SPIRITS』(Vol.3 辰巳出版株式会社発行)における「前田日明 一線を越えた青春時代」(同誌P4)より引用

こうして第2次UWF分裂の件がさらにまた明らかになったことで、一ファンとしてはやはりそうだったのかという思いだ。じゃあ、第2次UWF・松本大会での選手全員による万歳は何だったのか? その時点ではまだ落ちこぼれる人間No.2は、前田とは別の団体を設立しようとは思っていなかったのか?

今となってはもう交わることのない前田日明と高田&宮戸。彼らと交わる前田日明リングス総帥を見たいと私自身も思わなくなった。